こたつむり

ミスター・ガラスのこたつむりのレビュー・感想・評価

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)
3.0
♪ この街は止まらない
  たとえキミを強く抱きしめたって

不遇の錬金術師シャマラン監督ファン専用。
…なんて書くと語弊があるかもしれませんが、賛否両論の作風は相変わらず。取り扱い要注意の作品でした。

何しろ、本作はシリーズ3作目。
それゆえに前2作の鑑賞は必須なのですが、その作品名を出すこと自体がネタバレになるのです(って周知の事実になっていますけどね…でも、知らないほうが楽しめると思います。特に2作目は)。

また、終盤の展開に言及したくても、それ自体が他の作品のネタバレになる可能性もあり…鑑賞していない人と感想を共有することが難しいのです。うーん、ハードルが高い…。

それでいて、監督さん特有の筆致は健在。
良く言えば“丁寧”であり、悪く言えば“間延びした感覚”。本作に限って言えば、題材と相性が悪かった気がしました。

それなのに、監督さんの“優しさ”成分は少なめ。ジェームズ・マカヴォイの慈しむような“眼差し”は心に残るものの、主題の陰に隠れてしまった感は否めません。

そして、その主題についても。
前々作の感想で「××××には××が必要」と書きましたが、それも触れられず。個人的には“異能者”と判断せざるを得ませんでした(勿論、真の主人公は××を持っている…のでしょう。たぶん)。

まあ、そんなわけで。
良い部分よりも悪い部分のほうが多い感想になりましたが…それでも「つまらない」わけではない…のが微妙なところ。このアンバランスな感覚が監督さんの持ち味なのでしょう。

だから“監督さんとの相性”によって評価が大きく分かれる作品です。僕としては、自分の中で監督さんに感じていたものが顕在化した…という意味で鑑賞した価値はありました…が、好きかどうかと問われると…うーん。やっぱり、微妙。

最後に余談として。
シャマラン監督の筆致って浦賀和弘先生の小説(特に安藤直樹シリーズ)に似ていますね。一冊読んだだけでは真価が伝わらないところなんて特に…。興味がある人は『記憶の果て』で検索。
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