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ユー・ガット・メールのakrutmのレビュー・感想・評価

ユー・ガット・メール(1998年製作の映画)
3.3
メグ・ライアンをロマコメの女王に押し上げたロマコメの名手ノーラ・エフロン監督による、メグ・ライアンとトム・ハンクスが主演のロマコメ映画。お互いに会ったことのない相手とメールをやり取りする男女が、実はそれとは知らずに商売敵として会っているというストーリー。ただし、インターネットが爆発的に普及し始める頃なので、映画で使われているメールは、現在のインターネットというよりは、AOLというインターネットプロバイダが提供しているメールシステムと言ったほうが正しい。ちなみに、スタンフォード大学の二人の学生がGoogleを創業したのが、本映画が公開される数ヶ月前である。

メグ・ライアン主演のロマコメなので結末は自明なのだが、それを楽しむのではなく、そのような結末に至る恋愛模様を楽しむ映画(ってロマコメだから当たり前か)。インターネットが普及する前という時代設定なので、空気のような存在のインターネットや携帯でSNSが当たり前の現在からすると、とてもナイーブなストーリー。今の若い人たちは、この映画を観てどう感じるのだろうか。

残念ながら、自分にとってはこの時代はもうすっかり大人なので、ほとんどノスタルジーは感じなかった。もっと前のパソコン通信の時代を学生として過ごした(オンラインで親しくなってオフラインで会うという経験もある)私からすると、この映画が公開された時代でも、ネタ的には結構古いと思ってしまうのである。いや、それ以前にも文通なんてものもあった(ペンパルなんて言葉、知らないだろうなあ)ので、こういうロマンスはもっともっと昔から存在するのである。ちなみに、本映画にも原作があって、『桃色の店』という1940年のアメリカのロマコメ映画(この元ネタがハンガリーの劇作家ニコラウス・ラズロの戯曲)が元ネタになっている。

ロマコメなので仕方ないが、安易なストーリーもちょっと。なんと言っても、メグ・ライアン演じるキャスリーンにとってかけがえのない絵本店を潰した張本人(単なる従業員ではなく、御曹司だぜ)なのに、そんな簡単に…と思うし、お互いの恋人がさしたる理由もなく振られてフェードアウトしていくのは、酷すぎる。個人的には、パーカー・ポージーのほうが好みなんだけど。
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