カズナリマン

2重螺旋の恋人のカズナリマンのレビュー・感想・評価

2重螺旋の恋人(2017年製作の映画)
3.9
オゾンによる「クローネンバーグXデパルマ」ハイブリッドスリラー!
なるほど、この邦題はいいですねーー!
原題は「L’mant double(二重愛人)」。いろんな意味でピッタリの邦題也。
オゾンによるセクシースリラー的な売り込みの本作ですが、ハイ、間違っておりません。セックスもスリルも満足度高い、オゾンのヌーベルサイコスリラーでございました!

◯一応ストーリー
クロエは原因不明の腹痛に悩まされ、精神分析医ポールのカウンセリングを受けることに。痛みから解放された彼女はポールと恋に落ち、一緒に暮らし始める。そんなある日、クロエは街でポールに瓜二つの男性ルイを見かける。ルイはポールと双子で、職業も同じ精神分析医だという。ポールからルイの存在を聞かされていなかったクロエは、真実を突き止めようとルイの診察室に通い始めるが、優しいポールと違って傲慢で挑発的なルイに次第に惹かれていくのだが…

見る前は「またまた大げさに〜」と勝手に勘ぐってましたが、オゾン、いつもよりネジって来ましたね〜。看板に偽りなしのセックスとスリルと謎の3重断層ミルフィーユ。
さらにさらに驚いたのが、フランス映画のトリュフこと、「アンニュイ」さに頼らない、見事な謎解きクロージャー。へーーーオゾン兄貴やるじゃん!!ちゃんと謎に答えを用意しとる。ちょっと、ちょっとだけ反則気味だけど(ここがストレートすぎちゃただのB級映画)。

さらに驚いたのが…
これって…とってもクローネンバーグ的で、さらにデ・パルマスパイスもめっちゃ効いてません??スゲー生理的嫌悪感をあおる攻め方で(クローネンバーグ)、かつ、表面的なグロテスクさもキマってる(デ・パルマっぽい)。
つまり、スリラーとして…イケてる!!!

とはいえ、安っぽい猿真似に終わってないところが、オゾン流。
映画のためならひと肌もふた肌も脱ぐ美人女優(17歳のマリーヌヴァクト!腰の肉付きがいいっすね!)を中心に、「これ本当に必要?」的なセックス要素がてんこもり!
ハイ、これから付き合うかもしれない女子は絶対につれていかない方がいいです。完全にそっち系のひとだと思われます。

そんなわけで、途中までは「最近のオゾン監督の作品みたいにセックスとスリルを勘違いした、ストーリー激薄のH映画」と思い込んでみていた自分ですが、後半の展開は目から鱗…目からトリュフ。とっても上品でなおかつ下品な、精神的ゲテモノスリラー、堪能させていただきました!
オゾン監督、いいすねーーー。最後の一撃には笑ってしまいました(笑ってるのは自分だけでした)。
ホラー、スリラー、ポルノ、双子ものジャンル好きには特にオススメします!

注意:とはいえ!フランス映画です。映画をみたあとは多少の考察ないし解釈が必要になります。超単純明快なB級スリラーとお間違えのないよう!ま、そんなことほっといてもいろいろ楽しめるんですけどね!