カズナリマン

ニューオーダーのカズナリマンのレビュー・感想・評価

ニューオーダー(2020年製作の映画)
2.9
「父の秘密」「或る終焉」で全闇映画ファンの度肝を抜いたミシェルフランコ監督の最新作は、スピーシーズカラーのポスターでSF感?漂うポリティカルスリラー…

だったのですが!うーむ、パンチ不足!

今までポーカーフェイスの登場人物たちのパーソナルな問題とその葛藤に、極端とも言える対処法を見せつつ、問題作を連発してきたフランコムービーですが、ここに来てパーソナルから離れ、政治的テーマに挑んだことが、彼のウィークポイントを浮き上がららせてしまったというか…
ポーカーフェイスの登場人物たちが、無関心というか、記号的なコマに成り果ててしまった気がします。今回のテーマはタイトルの「新しい秩序」も指すように、新しい統治者による新しくない汚職っぷりというか、繰り返される腐敗というか…だと思うのですが、そんな転換に翻弄される主人公と、彼女を取り巻く人々の煉獄を描くにはもっと情緒的な側面を描いてくれないと!
悲劇のヒロインが泣き喚く一方、冷静な周囲の人々、そしてそこから利を得ようとする人々も機械的すぎる…。そこが怖い!という描き方なのでしょうが、物語というか、彼女が陥る運命をもたらすドラマがちょっと予想通りすぎて…ミシェルフランコの容赦ない責め苦を求めてるドM観客として(フランコマニアは大方M説)めちゃめちゃ物足りない!

何かのバラエティ番組でドS女王様が「Sに必要なもの、それは想像力。バシイ」と言ってましたが、まさにそんな感じで、今回のフランコ脚本は想像力がイマイチだった気がします。ソレゆえこちらも予想を裏切られることもなく、なんとなく適当な闇展開でプレイが終わってしまった…本当はもっとダラダラヨダレを垂らしてウーー🐷と身を悶えたかったのに!!(ハッ😅話がソレました)

とどのつまり、フランコムービーとしては展開が予想通りすぎ、ポリティカルスリラーとしてはややありきたりな気がしました!無念!