グラッデン

ビューティフル・デイのグラッデンのレビュー・感想・評価

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)
4.0
俺の名前はジョーだ。

殺しアリの何でも屋稼業を営む主人公・ジョーは、ある少女を救う依頼からを受けたことから思わぬトラブルに見舞われることになる。

原題『You Were Never Really Here』は何を意味するのか?鑑賞を終えて頭の整理をしていましたが、ジョー、そして彼が出会う少女・ニーナがそうなのだと考えることができます。
街を彷徨い、家の中でも窮屈そうに過ごすジョーの姿は『タクシードライバー』を連想させますが、さらに自身が体験してきた過去のトラウマと向き合うジョーの心の揺らぎを巧みに演出していたと思います。

特に心情変化を表現するための音楽の使い方は印象的で、言葉で語るよりも雄弁であったと思います。その意味では、音響が整えられた映画館で見てよかったです。

主演のホアキン・フェニックスによる狂気と哀愁が同居する怪演も素晴らしかった。同情云々ではなく、ダイレクトに思考に入り込んできた感覚。