宮廷モノは正直に言えば苦手だが、お気に入りの女優エマ・ストーンに惹かれて鑑賞。
アン女王、レディ・サラ、侍女アビゲイルが火花を散らしてぶつかり合う愛憎劇なのに、ブラックコメディ感満載の百合版大奥といった趣き。
底辺の侍女からあの手この手で成り上がり、アン女王からの寵愛を勝ち取るアビゲイル嬢の生き様に可笑しさがある。
女優陣の麗しい衣装、美術、セットはやはり眼福。広角レンズ、魚眼レンズでの撮影は部屋や建物の奥行きを感じさせるが、どことなく居心地の悪さも感じる不思議な映像演出。
憎たらしい表情や怒りに任せfuckを連呼するエマ・ストーンの演技は今までになく新鮮に映る。
オリヴィア・コールマン演じるアン女王の佇まいや無知な振舞いは哀しくも可笑しく、傍若無人に権力をふるう姿は、現代の米国の大統領の様にも見える。
ラストの押さえつけられたアビゲイルの表情はとても象徴的であり、皮肉たっぷりで好感。
ヨルゴス・ランティモス監督はやはり意地が悪い…。
