ネブュラー

女王陛下のお気に入りのネブュラーのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.5
お気に入りは得をするが、醜くなることを強いられる。
それぞれの利害が絡む中で、女王からの寵愛を受けるための女性のどろどろ合戦が繰り広げられる。毒盛り、レズ、自傷、そこまでやるバイタリティに感服。
ヨルゴスランティモスは、ある状況に人間を追い込み、何とかして自らの利益を守るために晒される人間の恥部、卑しい部分が明らかになっていき、そこにこそ表れる動物的ともいえる本性を描きたい作家なんだろう。

自分に甘く、最終的に女王という立場を私物化しかできないアン女王。
地位に囚われ続け、己の利益を追求し続けるアビゲイル。
国を行く末を慮り、女王に厳しくとも己の正義を貫こうとするサラ。
見事に三者ともに、自らの役を演じていた。

煌びやかな宮廷内を映し出す、唐突な魚眼レンズショット。純粋に荘厳なものとして捉えさえてくれない演出。渦巻く欲求ごとに正しき行いがあり、その積み重ねはあらゆる観点をねじ曲げ、カオスを引き起こす。

ここまでする必要があったのかという表情で天を仰ぐエマストーン、憮然とした表情を見せるオリヴィアコールマン。
どうしようもないところまで、きてしまったのだ。
ネブュラー

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