空海花

ラッカは静かに虐殺されているの空海花のレビュー・感想・評価

4.2
5月鑑賞分です。


シリア内戦を扱ったドキュメンタリー。
過激な映像を覚悟して観れば、
ジャーナリズムとは何か。
その問いを何度も反芻させられる。

シリア内戦、5年間での死亡者43万人。
戦後史上最悪の人道危機と言われている。
ISはシリア北部の街ラッカを制圧し、
ラッカの街はISの首都とされた。

RBSS(Raqqa is Being Slaughtered Silently)
タイトルそのままの市民ジャーナリスト達は
街の惨状をスマホを使ってSNSに投稿し
世界に訴えかける。

この作品の特徴はこの続きがあるというか
その告発行為はISに敵視されて、恐ろしい報復を受けることになる。

ISの残酷な行為や子供への洗脳と
亡命しても手が伸びる絶望のような恐怖と
ラッカのその後のこと
とにかく重すぎていたたまれなくなる。

ペンは剣よりも強し。
スマホやSNSは誰でも発信できて
世論を動かすという目的で
国境を越えて訴えかけることもできるようになったけれど、
つまりは相手も同じように、煽動や脅迫に使えてしまう。
アンテナが倒されればそれも使えない。

彼らの勇気は賞賛に値されるべきだが
現実は厳しく、辛い虚しさが残る。

それでも知って考えて、平和を望む気持ちをもっと大きくしなくてはならないのだと思う。

残酷な映像なのでオススメしていいかは、ちょっとわからない。


2020自宅鑑賞No.32/total113


「プライベート・ウォー」もこの監督だったのですね。
あちらもジャーナリスト物だった。
「カルテル・ランド」も観てみたい。

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