えむえすぷらす

少女邂逅のえむえすぷらすのレビュー・感想・評価

少女邂逅(2017年製作の映画)
5.0
いじめられっ子の少女が転校生の同級生に救われ変っていくが、その中でその同級生にも悩みがあってという展開。
蚕は成虫の蛾になっても自重すら支えられない筋肉のない足なんだという。糸を取るために家畜化された虫であり、大半は熱湯で茹でられ中の虫が殺されて繭から糸が取られる。
その事を女子高校生を性的加害、性的搾取する事に重ねて見せてくる。

中盤、普通の高校生ライフみたいなシーンも入って来てホッとする。でもそのまま行く訳がなく二人がある事を計画して走り出した時に分かれ道が訪れる。

春から夏にかけての一瞬の出来事。そして紬は一人となって出会い系で彼氏を作ろうとしたり何か試みようとしている様子が描写されて卒業、そしてエピローグで「真実」らしきものが突き付けられる。

ある監督は長編アニメーション映画「リズと青い鳥」を見て高校生ものはキャスティングで少し年齢層が上のタレントや俳優に主人公が当てられる関係でリアルさが欠けていて、この点でアニメの方が有利ではないかと指摘していた。
本作も主人公二人は高校生に見えていてリアリティは問題なかったと思う。そして「リズ」と比較すると全く違う事をやっていますが、それでも何か似たもの、共通点があるように感じる。それは二人の関係性を徹底的にミクロに描こうという姿勢にあるのだと思う。そしてその上で本作は最後、知るよしもなかった事態が一方の主人公に突き付けられて終わる。
救いを与えられたが救う事から逃げてしまった紬。友達を切り捨てるという選択は「リズ」希美がやってしまった過去とも重なっていて全く違う2本なのに不思議と似た事が多い。
という訳で本作が気に入った人は「リズと青い鳥」も良いと思いますので是非、是非ご覧になってみて下さい。別の二人のミクロな世界を堪能できます。