自主映画にありがちなチープなクオリティを逆手にとるフェイクドキュメンタリー風の撮影。
主人公に課せられた「面白い映画を作りたいならば、まずは自身の生活を映像に記録してみよ」という呪い。
撮りたいという欲求によって主人公が映画という魔物に取り憑かれていく。
同時に主人公は考える。
映画とは何か?誰のために存在するのか?
この世は誰かの頭の中に存在している映画かもしれないのではないか?
「映画はウソですか?」そういう問いかけに対してそれでも映像が撮りたいんですとその衝動が映像に迸る。
美しい映画を撮りたいという欲求を、現実感のない美少女で置き換えておりこれも良い。
映画美少女に取り憑かれて、現実の彼女がおざなりになってしまう。そして最後に現実の彼女によってカメラは投げ捨てられる。
映画と音楽の共生を目指したムージックラボ史上最高傑作ではないか?
小川紗良さんの演技がとても良い。
目線がよく下に上に動き、こちらを惑わしてくる。
キャスティングがリアルの人物と密接に結びついており嘘がない。その中で差し込まれる現実感のない映像が生々しさをもって目の前に浮かび上がる。
こうした才能を日本映画は決して腐らせてはならない。
アニメ映画ではなく、実写映画にこうした人が出てきたことが嬉しい。