ケーティー

未成年だけどコドモじゃないのケーティーのレビュー・感想・評価

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マンガならではのぶっ飛んだ設定を思い切って、いや、想像以上に思い切ってやる潔さ。平祐奈さんのコメディエンヌぶりなど、出演陣も好演。


マンガだと割りきって、ぶっ飛んだつくりにしているのが面白い。そもそも設定は非現実なのだが、それを割りきり、むしろ、楽しんで演出している感じがよかった。演者もそれに応えていて、特に高島夫妻のミュージカル調の登場シーンに思わずニヤケてしまう。このあとも、振り切った芝居で笑わせつつ、人のよいところをしっかり出すあたりはさすが。

いきなり、高嶋政宏さんとシルビア・グラブさんのことに触れてしまったが、主演二人も自らの個性を生かして、とても魅力的だった。

まず、平祐奈さんのコメディエンヌぶりがすごくいい。お嬢様で世間知らずな香琳のキャラクターは、ともすれば反感を抱かせかねない。しかし、愛嬌たっぷりに何の疑いもなく世間知らずの役どころを演じる、その姿が実に魅力的なのだ。彼女の演技力もあるのかもしれないが、そういう技能云々というよりも、天性の才能があるのではないかと感じた。世間知らずで全く現実感のないお姫さま、それでいてコメディエンヌを演じられる女優と言えば、舞台(ミュージカル)での大地真央さんを思い出すが、それに通じる天性の何かがあると言ってしまうのは言い過ぎだろうか。

対する相手役の中島健人さんも、そのイケメンぶりがいい。二枚目じゃなきゃ言えないセリフをきっちり決める。例えば、「世界を敵にまわしても~」と終盤言い切るところなど、これは二枚目じゃなきゃ決まらない台詞を見事に違和感なく言い切っていた。(そもそも、二枚目でも下手なら様にならない台詞でもある)

また、二人のかけあいのセリフも面白く、特に平祐奈さんの間の取り方は絶妙。台詞自体の面白さもあり、劇場でもウケていた。

脚本は、こうしたコミカルな掛け合いやぶっとんだシーン展開など、コメディとしての面白さをしっかり描いている。しかし、それだけではなく、時折見せる、その人物ならではの人間味のあるセリフが所々垣間見えるのがいい。人物の事情をしっかりつくって、それをセリフに出す、あるいは展開に出しているのがいい。特に、ラストの方で、中島さん演じる尚が家を出るところなど、尚の事情やこれまでの映画の展開を踏まえた一言となっており、いい台詞。その一言で、なんとも言えない味わいが出るのである。