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ケイコ 目を澄ませてのケーティーのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
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岸井ゆきのさんの芝居は素晴らしいけど、結局作者は何をしたかったのか……


正直なところ、岸井ゆきのさんの芝居が素晴らしく、彼女の心揺さぶられる姿に感情移入してしまえば、映画としては観れてしまうのかもしれない。

しかし、脚本・構成をを引いて観てみると、このシーンは要るの?と思うシーンとここはもっと描いたほうがいいんじゃないのという部分があり、結局監督が何を描きたかったのかがいまいち伝わりきらなかった。

必ずしも劇的な展開を入れる必要はないが、シーンはテーマに基づいて選択されるべきで、あるいは明確なテーマがなくとも、もっと主人公との絡みでそれぞれのシーンがどういう位置づけかをうまく構成しラストに何かを感じさせる方法もある。しかし、どちらも中途半端な印象がある。

自然を撮って映画にしたいという思いがあるのかもしれないが、撮るものはどういう形であれ、選択が発生するのであって、その選択にはどうしても意味が出るということを忘れてはならないと思った。