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ダ・ヴィンチは誰に微笑むのケーティーのレビュー・感想・評価

ダ・ヴィンチは誰に微笑む(2021年製作の映画)
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ダ・ヴィンチ最後の絵?をめぐるストーリーは、美術市場の全体像を明らかにするだけでなく、今の世界で誰が儲けているのかも浮かび上がらせる


一枚の絵の顛末を描く中で、美術市場とは何かを説明していく鮮やかさは、見事というほかない。

しかし、個人的に本作で一番魅了されたのは、出てくる登場人物たち(もちろん、全て実在の人!)がどの人も濃いことだ。それぞれのバックグラウンドも違うし、その一人一人にドラマがある。(もちろん、本作で出てくる人たちが全てではないが)、まさしく世界がどのような人たちで出来ているのかを感じさせるダイナミズムすらある。

すると、見えてくるのは、ゼロサム・ゲームの中で、誰が得をし、誰が損をするかという世界の構造。そして、その中で一人一人が持つ偽善や正義とは何か、何を頼りに生きるのかetc……様々なことが見えてきて、考えさせられる。

もう一度、年を取ったらまた観たい。

それにしても、絵を投資目的でしか買っておらず、買った絵は倉庫に眠りっぱなし、一度も観ることはなく売る富豪が出てくる。そこまでして、お金がほしいのか、それとも、お金がなくなる恐怖と絶えず戦っているのか……。人生とは、幸せとは難しい。
捨てること、自分が一番にしたいものは何かを見極めることも大切なのかもしれない。そんなことを改めて考えさせられた。