無駄のない脚本。しかし、終盤のクライマックスのシーンは俳優の芝居で成立している。
最小限のセリフでサクサク進むが、それでいて、それぞれの人物の事情や人柄を初めにわからせるあたりがうまい。
もっとも、序盤のナースと患者のやり取りは英語だから、さくっとクールにでき、日本語だとああいうシーンは、同じようにやるとかっこよくなりすぎるし、音感・語感・リズム感の問題で難しいかもしれない。そういう意味では、英語だからできる展開、セリフ捌きもあるなと改めて思わせる。
正直なところ、ラストはどうするのかなと思ったが、これも必要最小限のセリフ。もし同じ構成・脚本でも、日本のドラマ・映画ではなかなか成立しない気がする。エディ・レッドメインの緻密な芝居と間、そして演出があわさって成立している。受けの芝居、そしてそれに続く一言二言ですべてをわからせてしまう。
それにしても、刑事や検事たち、伏線になる新婚の老夫婦のおじさんなど、訓練された俳優が揃っているとつくづく感じる。クールな映画だった。
ラストが明るいのもいい。