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悪女/AKUJOのdm10foreverのレビュー・感想・評価

悪女/AKUJO(2017年製作の映画)
3.9
【本当に悪かったのは彼女じゃない】

2月16日に休みが取れたので映画でも観ようかとユナイテッドシネマズ札幌へ。
まぁ王道なら「グレイテスト・ショーマン」ですよね。やっぱり。

・・・でも時間がことごとく合わない・・・。ちっ!

とりあえず2~3日で終わることはないでしょ!とポジティブに気持ちを切り替えて別の作品を観ることとしました。どっちにしても気になっていた作品も結構あったし。

という事で1本目は「悪女」です。

昨年の「哭村」「アシュラ」「お嬢さん」「新感染」等々という韓国映画の与えたインパクトは記憶に新しいですが、今作もその流れを期待しての鑑賞でした。
オフィシャルトレーラーでもバンバン言っている「冒頭7分間の衝撃」は偽りなしですね。
何の説明もなくいきなり主人公視点で敵のアジトに潜入して、銃、ナイフ、刀、ボディコンタクト、まさに何でもありのバイオレンスシーンが唐突に始まります。
わかっていても「ポカ~ン」ですよ。
あえてPOVのようなカメラワークで撮ったことで、事前の設定説明がなくても、「自分(主人公)」と「その他(敵)」の立ち位置が一目瞭然ではっきりします。
やっぱり「韓国ノワール」の流れって血生臭い感じが消えないのね・・・。
でも、心のどこかでそれを期待して待っていた自分・・・。

・・・ただ、そこからちょっとダレるっていうのかな・・。
オープニングの激闘の末に警察に逮捕されてしまうんだけど、そこで彼女は通常の刑務所ではなく、秘密の国家機関に送られて、戸籍上は存在を消され、顔も整形され、秘密裏に暗殺技術を叩きこまれて・・・という「ありがち」な設定。

ここで冒頭部分の説明を省いたツケが回ってくる。彼女の人と成りがインプットされていないので、感情移入は勿論、整形前後の彼女が交互にインサートされる展開に至っては、結構な間、同一人物だと認識しきれないでいた。ミッションの為に新しい名前も与えられていたし、当然顔も変わっているからね。展開上、突然別人が出てくることはないだろうから「恐らく彼女」と頭で思いつつも、過去の話と現在の養成所の話が脈絡もなく入れ替わるので、「ま、待ってよ~」と置いてきぼりを喰らう瞬間もしばしば・・。
アシュラのような、徐々に沼から抜けなくなる主人公みたいな描写の生々しさはあまりなかった。どことなく涼し気というか、血は存分に流れているのに痛みを伴わないというか・・・。

でも、ストーリーが進むにつれ、人物設定もキチンと整理され、徐々に真相が明らかになっていくあたりから物語のスピードも一気に加速していく。
ラストの格闘シーンでは正に「アシュラ」のような痛々しさ、血生臭さがありつつも、どこかリズミカルというかテンポがいいため、チョコレートファイターのような爽快感、スピード感があった。
ウエディングドレスを着たままライフルを構えるシーンはかっこよくて萌えたわ~。
全体を通して映像がスタイリッシュな感じにまとめられていると思った。

スクヒの父親殺しの行は、割と早い段階でオチは見えてはいたけど、お互いが真実を隠しながら前後左右に揺さぶりあう駆け引きはなかなか面白かった。
ただ、ストーリー、展開に関して言えば総じて2時間ドラマっぽさが抜けきらなかった。
ま、確かに上映時間を考えたら「2時間ドラマ」で間違ってないんだけどね・・・。
でもなんか、アクションシーンのスケールで一気に劇場サイズまで持っていったみたいな感じかな。

面白かったと思います。全体を観終わった後でもう一度通して思い返せば、途中のドラマパートも幸せであればあるほど、その反動で切なくも映ることが伝わってきたしね。

あとは個人の趣向的な感想。
①育ての親ジュンサンはジャニーズの東山を4~5年くらい港町で生活させたような顔
②同じくヒョンスは関ジャニの錦戸張りのにやけ顔。

あと、キム・オクビンさん、綺麗。
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