エイデン

悪女/AKUJOのエイデンのレビュー・感想・評価

悪女/AKUJO(2017年製作の映画)
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韓国、ソウル
パクという男が率いる暴力団のアジトに、1人の女性が単身で乗り込むと、拳銃と短剣を武器に現れる男達を次々と殺害していく
女性は傷を負いながらも戦い続け、ついにパクを追い詰めると、彼を絞殺しアジトから脱出するが、待ち構えていた警察に逮捕される
パクは警察にマークされており、覚醒剤密輸容疑で逮捕しようとしていたところだったのだ
その一件を知った警察上層部は、真の狙いだったパクのハードディスクが同時刻 謎の男によって盗まれていると知る
一方で、たった1人で組織を壊滅させた女性スクヒに目をつけた警察上層部は強引に彼女を何処かへと連れて行くのだった
次にスクヒが目覚めると、閉鎖された部屋の中におり、その顔は整形手術をされ別人となっていた
そこに現れた男達を倒して部屋から脱出したスクヒは、出口を探して建物の内部を巡るが、そこには調理室や舞台など様々な部屋があり、女性ばかりがいる不可思議な場所だった
その途中 ある女性に逃げるなら連れて行って欲しいと声をかけられたスクヒは、出口を知っているという彼女と共に建物の屋上へと飛び出すと外に向けて跳躍するが、突如として彼女は裏切り、再び意識を奪われてしまう
目を覚ましたスクヒは、ここが女性スパイを養成する“国家情報院”の施設で、あの女性の正体が育成を担当するクォン部長だと知る
スクヒの行動もよく新人が行う脱走行為として、見事に踊らされていたのだった
クォンは訝しむスクヒに対し、スパイとしての訓練を受けることを命令し、同時に検査の結果 身篭っていることを告げる
それを聞いたスクヒは、子の父親が自分の育ての親であり心から愛した暗殺者ジュンサンであると確信する
スクヒは幼い頃に父を殺され、敵討ちをしようとして危機に陥った際にジュンサンに救われ、以降 殺しの技術を叩き込まれながら育った
やがて2人は結ばれるも、すぐさま悲劇的な別れに終わってしまう
スクヒが単身で壊滅させた組織は、ジュンサンの敵討ちだったのだ
スクヒは訓練に参加するも特に前向きにはなれていなかったが、しばらくして娘ウネが誕生すると、クォンや彼女に惹かれる監察官ヒョンスに見守られながら数年後には一流のスパイとしての頭角を表していく



韓国産サスペンス・アクション

リュック・ベッソン監督の『ニキータ』にも賛辞を捧げる強い女性を描いた力作
支配からの自立という潜在的なテーマを持ちながらも、トレイラー公開時にも話題になったスタイリッシュなアクションでとにかく魅せる

どうやって撮ってるのかさっぱりわからないような斬新なカメラワークや編集でスクヒが次々と敵を殺していくのは圧巻
文句なしのカッコよさで延々とシビれさせてくれる

悲劇的な暗い過去を持つ暗殺者スクヒを演じたキム・オクビンも最高
冷徹な暗殺者の顔から母の顔を演じ分け、アクションもほとんどをノースタントでこなしたという体当たりっぷり
隙のないイカした佇まいに、踏んでほしい紳士もいそう

悪女というタイトルから、どことなく卑劣な女性像をイメージしがちだけど、原題は『The Villainess』、つまり女性ヴィランという意味なので齟齬はありそう
運命に翻弄される彼女が怪物となっていく瞬間には、ぜひこのタイトルを思い出してほしい

脱線気味なところもあるストーリーはそこまで気にならないけれど、肝心のアクションも見せ場が割とトレイラーに濃縮してしまってるので、トレイラー未視聴の方はぜひ予備知識なしで観てほしい
洗練された映像が脳裏に焼き付く力強さがある作品なので、この手の韓国映画が好きな方は必見
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