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ヴァーサス/ケン・ローチ映画と人生のいののレビュー・感想・評価

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TSUTAYAに行ったら、ケン・ローチがジャケを通して何かを訴えてきている、私に観なさいと言っている(ように感じる)。はい、ケン・ローチ監督、仰せの通りに致します。


私はケン・ローチ作品を観たのは3作のみ。「麦の穂をゆらす風」「この自由な世界で」「わたしは、ダニエル・ブレイク」 そのなかでも特に、ダニエル・ブレイクは私の心の中にいつまでもいてくれて、灯をともしてくれている(ように感じている)。


ケン・ローチは一貫して、声なき人々の代弁者となり、闘ってきた。声なき人々の声を代弁するのは、たやすいことではない。穏やかな姿勢でいながらも、不屈の、頑固な、頑丈な、信念。行動。 そして、信じた役者を信じ抜く姿勢。監督が役者を安心させることができたら、つまりは役者が監督を信頼してくれたら、役者は弱さを見せられるというようなことを語っていた。「弱さを見せられることが非常に重要」だと。私はこの話が好き。役者が弱さを見せてもいいのだと思える監督。これは凄いことなのではないかと思う。


また、監督には不遇の時期が長くあり、その間には、生きていくためにネスレやマクドナルド等のCMをやらなければならなかったこともあったそうだが、生きていくために自分の意に沿わない仕事を引き受けざるを得なかった経験が、その後の、声なき人々に寄り添う監督の姿勢を、より一層強めていくことに繋がっていったのだろうと、私は思うのである。
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