まりぃくりすてぃ

累 かさねのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

累 かさね(2018年製作の映画)
3.0
適度にフクザツで、面白め。ムダに華やかな映画。もしもTVドラマならば満足してあげてもいい。

最良の見どころは横山裕さんだ。めちゃかっこいい彼にはちゃんと人生が出てます! もう一度ことわっとくよ、主役は横山裕!! 彼が女子のどっちかにキスしてあげる感動的シーンで私泣きそうになった。

その美女子。芳根京子さんも土屋太鳳さんも、傷痕があろうとなかろうと全っ然関係なく最初から最後までひたすら美しいので、ほとんど私の感情を揺さぶってきませんでした(苦笑)。悲劇性やコワさを感じ取る前に、彼女らのギャアギャアな努力ばかりもらっちゃった(笑)。
地下牢の鎖と小学生のナイフのとこだけちょっぴコワかったかな。

ところで、昨2017年のベスト邦画はといえば、1位が『幼な子われらに生まれ』、2位は『めがみさま』。
そして本作では、『幼な子われらに生まれ』の主演・浅野忠信さんが、(20世紀少年の万丈目胤舟ばりの)やたらオジサン臭い狂言回しに徹してるけども、“徹してる”ってのはたぶん弁解っぽさであって、要するに大して深みのない一本調子なチョイ枯れ演技がまさにTV俳優並みの省エネぶりなのだ。怪演とか円熟とかそういう褒めにはあたらないんだから、キャストファン向け気軽映画っていったってそのうちの浅野ファンはこんなの観る意義見出せない。
そして陰と陽の若女子二人による入れ替わりファンタジー、というドッペルっぽい軸は『めがみさま』とけっこう似てる。でも、あっちには娯楽物の域をはるかに超えた松井玲奈さんの驚異的憑依演技があった。その松井さん&新川優愛さん組に比べちゃうと、今作の土屋さん&芳根さん組は(美の総合以外には)特に何も輝くものがなかった。
それでもやっぱり、見分けのつきにくいぐらいに土屋さんと芳根さんがともに綺麗&綺麗であることはそりゃ“禁断キス”のぜいたくな回数ごと威力充分。ただね、、繰り返して書くけど、顔に大傷があってもその傷ごと美しいんだ二人とも。私がもしも男性だったら、傷ありの芳根さんに傷ごと恋しちゃう。渋谷でもパリでも連れ歩く。あんな傷全然全然平気。傷さえ美しく愛おしく思えてきっと結婚後十年間は毎日傷をぺろぺろしちゃう。映画観てるうちに、傷がない時の芳根さんよりも傷ありの芳根さんの方がかえって魅力的にさえ見えちった。

そして致命的だったのは、「舞台俳優としての天才的な上手さ」を表現すべきシーン(オーディション会場とか稽古場)でちっとも土屋さんらが「天才的な舞台用演技」をしてみせてくれなかった点。照明と踊りで強引に映えさせてたサロメはともかく、前半のカモメらへんは本当に悲惨だった。この映画化の一番のキモはそこにちがいないのに。高く張り上げた声がキャアキャアしてただけ。