痛快なブラックコメディ
・感想
この映画はイギリス映画らしく、とてもノスタルジックでレトロ感のある雰囲気を醸し出しながらも、全体的にクスッと来る笑いを届けてくれるコメディ映画となっています。
映画自体は冒頭で既に被害者の死体の一部が手足からアソコまで被害者の遺族の家に届けられるところからはじまるので前半でバーニーの母親の家の冷凍庫にバラバラになった死体が保存されたところでまあバーニーの母親も殺人をやってるんだなぁというのは完全に読める状態で物語は展開する。
そのうえ、バーニーの母親役のエマ・トンプソンがぶっちゃけている演技をしており、特に後半でバーニーが「ママ~、おやつちょうだい。」と言って物まねをしているシーンは秀逸。
また、これまた笑えるかどうか個人差があるのですが、バーニーが同僚のクリスの家に行ってアリバイ工作をする際に隣人が変声器を使ってロボット声のままバーニーに構ってくるシーンだったり、警視正の目の前で被害者の死体のお尻が置かれているシーンなんかはクスッと来ました。あとはバーニーが偶発的に人を殺したときにラジオでボクシングの実況が流れるところなんか皮肉めいていて面白い。
結構脚本は練られているが、笑いどころがクスクス程度だったのでもう少しドカンと来る笑いどころが欲しかった。日本人と本国イギリス人ではちょっと笑いのツボに差があるかもしれないが、個性的なキャラクターがバーニーを含めて多かっただけにやや物足りなさはあった。
とはいえ、あくまでも『サスペンススリラー』というよりも『ブラックコメディ』として観ていただけると有り難いです。映画全編通して『怖い』という感情は芽生えないものの、ラストで刑事たちがバーニーを逮捕……かと思ったら衝撃のラストが待っていたのであまりにも意外すぎた。