るる

ミスター・ノーバディのるるのネタバレレビュー・内容・結末

ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ずっと観たかったやつ、『神様メール』を観たときに、同じ監督の作品と知って俄然興味がわいたんだけど…観るタイミングを完全に逃してしまった感じ、『コメット』や『ブラックミラー』を観た後に見てしまったのでセンスオブワンダーが減ってしまって、うーんんん

序盤は色々と示唆的で刺激的で面白かったんだけど…

赤ん坊の視点で母親のアップを映し出すあたり、プロデュース作品『エンジェル、見えない恋人』にも通ずるなと思って面白かったんだけど…

この手の映画で一番感じたくない、どの人生を選択をしたとしても、そんなに面白くなさそうだな、あんまり面白くない人間の話だな、にんげんってそんなに面白くないのかもな、ということを思ってしまって…

臨終の際、遺言として、今日が人生で最も美しい日だ、といって死んでいく男…彼の死を目の当たりにした不死の人間たちが死に憧れる話なのかなと思ったので、そういう意味では成功しているのかもしれない、どの人生を選択したとしても死すべき人間とは、無為なのである、不死の人間なんてなおのこと…そういう意味ではこれ以上なく納得なんだけど…

ありとあらゆる人生の記憶を持つ男、試みは好きなんだけどな。あの結末、ファウストっぽさも感じて面白かったんだけど、最後の巻き戻し…神も悪魔も存在しない、天に召されることもなければ地獄に引きずり落とされることもない、ファウスト、という感じがして…やっぱり私は仏教徒なのかもしれない、輪廻からは逃れてほしい、解脱を目指して欲しいんだよな、やっぱり。『ミッション・8ミニッツ』は良かったですよ。

なんだったんだ、なにを見せられてたんだ、どうせ永劫回帰する物語ならもうちょっと魅力ある人物の人生を見たい、と思ってしまった。

ただ構成や仕掛けや映像は好き。再見したら、めちゃくちゃ好きになる予感もある。そんな映画。
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