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ドラムラインのRのネタバレレビュー・内容・結末

ドラムライン(2002年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2002年のアメリカの作品。

監督は「ステップ・シスターズ」のチャールズ・ストーン3世。

あらすじ

類稀なる音楽の才能を持つデヴォン(ニック・キャノン「ザ ・ミスフィッツ」)はA &T大学のマーチングバンド部監督のリー(オーランド・ジョーンズ「マキシマム・ソルジャー」)に音楽特待生としてスカウトされる。入部したデヴォンは先輩との衝突や厳しい訓練に打ちのめされながらも才能を発揮させていく。

ディズニープラスにて。

俺でも、名前は聞いたことがある作品で、確か「マテンロウ」のアントニーが好きな作品じゃなかったっけか?

で、そんな有名な作品を今更ながら初鑑賞!うん、めちゃくちゃ熱くて面白かったです。

お話はあらすじの通り、いわゆる「スポ根もの」の王道ストーリーではあるんだけど、取り扱われるものが「マーチングバンド」。

そして、タイトルにある「ドラムライン」の通り、主人公デヴォンはその中でも特にリズム感が重要視される、バンドの花形鼓手隊。

ニック・キャノン演じる主人公デヴォンはまぁ見た目は不良チックなやさぐれ兄ちゃんなんだけど、とにかく抜群の音楽センスと類稀なる才能を持っていて、こいつがとにかくすごい。

入峰早々、「鉄人」と呼ばれるドラムラインのリーダー、ショーン(レナード・ロバーツ「レッド・サンズ 呪われた兵士たち」)に目をつけられて、まぁバチバチにしごかれるんだけど、ショーンのソロ演奏を見ただけで、瞬時に演奏できちゃったり、初舞台で「ソロやってみ!」と因縁をつけられても、その初舞台で見事アドリブ演技で乗り切っちゃったりして、その度にショーンが面食らう様が面白い。とにかく、こういう映画って挫折を味わう描写が序盤の展開に付き物だと思うんだけど、デヴォン自身がチート級の才能を持っているので、ことごとくそれを乗り越えていく感じが新鮮で爽快。

ただ、もちろん才能にかまけて、性格的にはかなり問題児で自惚れてはいるので、とにかく先輩や監督ともぶつかるし、喧嘩っ早いので、ホームカミングパーティーで乱闘騒ぎも起こしちゃってクビ寸前になっちゃう、そういう側面では挫折も味わうので、そこら辺はスポ根もののそれ。

加えて、多分「失読症」っぽくて、楽譜が全く読めないので、とにかく目で見て覚えるなど、無学だけど天才という本当に漫画みたいな主人公のキャラクターでカッコよかった。

演じるニック・キャノンも顔立ちからして、まぁー不良という感じなんだけど、時折見せるはにかんだ笑顔が朴訥とした感じもあって良かった。あと個人的に専門の時の友だちにどこか似ていて応援したくなる。

あとは、そんなデヴォンとぶつかるショーンのキャラも良くて、所々でデヴォンにちょっとした嫌がらせをする、若干嫌な先輩ではあるんだけど、劇中、何度かあるデヴォンとのドラム対決は「下を見るな!」と言われ、一つのドラムでノールックで同じリズムを叩き合うところとか、フィニッシュでスティックをお互いの顔に突き立てるところとか、どれもバッチバチに2人の気迫みたいなものが伝わってきて、まさに「ライバル」という相入れない関係性が構築されており、ヒリつく!!

だからこそ、終盤二人が遂に結託した後のラストに×展開なんかは「スラムダンク」の花道と流川みたいな感じでめちゃくちゃ激アツだったなぁ。

そして、なんといってもマーチングバンドのシーンは特に凄くて、観る前のマーチングバンドのイメージってブラバンみたいな感じなんかなーと思っていたんだけど、観てみたら、もっとめちゃくちゃ激しくて統率された動きの中で楽器を演奏しながらスウィングしてめちゃくちゃ踊ったりするし、曲目によってはそのままブレイクダンスみたいなことをしたり、寝そべって逆さの姿勢でドラムを叩いたり、挙句の果てには肩車しながら演奏しちゃったりなんかもして、思っていた以上に「魅せる」プレイを要求されていて、とにかくめちゃくちゃハード!!

また劇中、とくに後半の大会にかけて色んな大学のバンドの演奏が観れるんだけど、演出の中でコップを投げ捨てたり、歌ったり、掛け声を出したり、果ては有名人ミュージシャンを呼び寄せて、普通に大会なのにコラボして一緒に演奏しちゃったりする。いや、それって他の大学からしたら反則でしょうよ笑!!フリーダム過ぎw

で、その結果同率1位となっての優勝決定戦!主人公たちがいるA &T大学vs優勝筆頭のMB大学によるドラムライン対決。

まるで、ラップバトルのようにお互いが横一列で対立しながら、陣を組んで代わりばんこにドラムを叩くんだけど、照明を極端に落として二校だけにスポットが当てられるだけで実にスリリングな中、そっから繰り広げられるのは、怒涛のドラムテク合戦。細かにバチでドラムを打ち鳴らしたと思ったら、シンバル隊が中国舞踊のように踊り狂ったり、陣形を縦横無尽に変容させながら巧みに魅せていく両者。終盤ではMBのドラムラインが A&Tに近づいて、相手方のドラムを叩いたり(ホームカミングではこれでデヴォンがキレて乱闘騒ぎになってしまった挑発行為)、かと思えばA &Tのターンではその挑発に乗ることなく、堂々たるドラムテクと寸止めからのバチを放り投げる圧巻のフィニッシュ!!

どちらのせめぎ合いもシーンとしての緊迫感溢れる超絶テクニックの連続でめちゃくちゃかっこよくて、とにかく凄かった。ここら辺はチャゼルの「セッション」のラストパートにも通ずる、まさに名シーンと言えよう。

ラスト、勝負を決したのは見事A &T!!デヴォンとショーン、そして仲間たちが抱き合う中での大団円はまさにスポ根ものの爽快感に溢れた終わり方でまた良かった!

という感じでお話的には王道なストーリーながら、マーチングバンドの華麗で統率のとれた音楽使いがどれも素晴らしく、尚且つラストにおけるドラムライン対決の圧巻のプレイなど、めちゃくちゃ激アツな作品でした!!
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