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ある女流作家の罪と罰のakihiko810のレビュー・感想・評価

ある女流作家の罪と罰(2018年製作の映画)
4.1
実在した女流作家リー・イスラエルの自伝「Can You Ever Forgive Me?」を原作とした作品。

かつてはベストセラーの伝記作家だった彼女は、自身の作品は売れずに出版社にも相手にしてもらえなくなる。
一方、プライドが高くて仕事も長続きせず、アルコールに溺れて家賃も滞納し、愛猫の病気の治療費すらも払えない。
あることが切欠で生活費を稼ぐために有名人の手紙を偽造するようになる。

とてもシニカルなユーモアと、お洒落なジャズに彩られた文芸詐欺の映画だった。
メリッサ・マッカーシーが、性格が悪いけど憎めない貧乏な伝記作家を演じ、ゲイの友人をリチャード・E・グラントが好演。このふたりの存在で、社会からつまはじきにされた者たちの奇妙な友情をみごとに描いていた。
ホック(ゲイの友人)は口を割ってイスラエルを売ったのに、エイズになってしまい、ラストにイスラエルが「このことを本に書きたい」と言って友情が復活したのもいい。
Filmarksでは3.6点と決して高くはないが、本作は地味ながら見事な作品だった。
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