Ryoma

四月の永い夢のRyomaのレビュー・感想・評価

四月の永い夢(2017年製作の映画)
4.7
冒頭映し出される桜並木とともに綴られる詩的で叙情的な語りで一気に引き込まれた。淡々とした語りや穏やかに発せられる言葉のひとつひとつに力強い思いや叫びが込められているみたいにすっと胸に届いてきて泣いてしまった。
喪失感に苛まれ責任感すら抱いて生きてきた主人公の虚ろな姿、その苦悩や悲壮感が痛いほどに感じられた。彼女が様々な人との関わりを通して少しずつ解放されていく心情の変化や機微が四季の移ろい•四季折々の景観に合わせて丁寧に描かれていて心が浄化されるような穏やかな気持ちになった。
無理に喪失から立ち直るのではなく、一歩一歩自分のペースで自分らしく歩いていくことが大切であると強く感じた。
本作監督、邦画で一番好きな監督かもしれないなと感じた。『静かな雨』や『わたしは光をにぎっている』、本作も例外ではなく溢れんばかりの人の思いやりや愛情、優しさが込められている作品だなと感じたし、強引に奮い立たせるのではなく、だれもにそっと背中を押し寄り添ってくれるようなすべての人の生き方を肯定してくれるようなそんなメッセージをひしひしと感じる素敵な作品•監督だなと思えた。
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