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ハンターキラー 潜航せよのdm10foreverのレビュー・感想・評価

ハンターキラー 潜航せよ(2018年製作の映画)
3.8
【ザ・アメリカン】

何かアメリカ映画が元気だった時代を思い出させてくれるような中々の良作だったな。
明確に敵を設定して「戦え!アメリカ!」が全面に押し出されてる。
昔見た「ネイビーシールズ」とか「エネミーライン」とか、まんまではないけど、いい意味であの頃のアメリカ映画のテイストが香る作品だと思います。

なんたって、悪びれもせず「アメリカVSロシア」という対立構造(表向きでもね)を今の時代にやるって辺りが確信犯的というか、もうそれだけで「そういう映画です」って宣言しているような感じだし、実際いい意味でテイストを踏襲しています。

ストーリーはネタバレも何も「直球」で勝負してますので、それほど隠す要素もありませんが、逆に言えば安定感、安心感にも似た「こういう映画が見たいから見に来た」という欲求に対して、変に色気を出さずに正直に応えてくれた、そんな感じでした。

CMなんかでも潜水艦の潜航シーンがメインで流れていたため、てっきり8割方が海底パートなのかな?と勝手に想像していましたが、それほど息苦しくならなかったのは、同時に進行する特殊部隊チーム(シールズ)のパートがテンポ良いアクセントになっていたからですね。
で、この特殊部隊チームがいい感じで「伏線回収担当」を担ってくれる為、潜水艦がベースの話でありながら「深海」という心理的圧迫感を中和してくれていました。
特にビーマン隊長率いるネイビーシールズの訓練風景でヘマをやらかす新人隊員に
(あ~~きっとこれは「死亡フラグ」か「起死回生の逆転ホームランバッター」のどっちかね)
とまあ普通の想像がつくわけです。そしてまんまとホームランをかっ飛ばすわけです。

途中までは中々潜水艦アクションが思ったほどグイグイ来てくれない分、間に挟まれるネイビーシールズたちの隠密行動パートがかっこよく描かれているため、その辺は飽きが来ない設計にはなっているし、テンポを大事にしてくれたおかげで結果的にポップとまではいかないけど「やったぜ!アメリカ軍最高!」にも似た着地点が心地よくすら感じたんだと思います。

・・・ただ、欲を言えば「もうちょっと裏切って欲しかったな」と。
言うほど「優等生映画」ではありませんが、全体的に予定調和的というか、悪く言えば教科書通りな作りに感じてしまった。
確かにラストのバトルは迫力ありましたしスクリーンで観て正解!と思いましたが、それでも(ブラボ~~)とまでは登り詰めず・・・。

今作では徹底的に「ロシア=寒い・怖い・悪い」と言う様な一昔前のプロパガンダ映画のような位置づけではなく、テーマ的にはもっと根源的な個人の欲や正義などにスポットを当てているので、それほど恣意的に悪者扱いしていないのは時代の流れだねと思いつつも、それでもやっぱりこの構図っていつの時代にも「王道プロット」なんだな~とも改めて思う。
ロッキーシリーズにおける「ドラゴ(親子)」との因縁なんかも、形こそ違えどやっぱり「対立構図の最適な例」なんだろうね。

そんなこんな若干不完全燃焼気味ではありつつも相対的には「まぁ満足」って感じだったかな。
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