喜連川風連

トップガン マーヴェリックの喜連川風連のレビュー・感想・評価

4.5
スターウォーズとバックトゥーザフューチャーの面白い部分を詰め合わせたかのような超良質娯楽映画。ここまで面白いとは正直思わなかった。

フィルムカメラの制約から解き放たれた戦闘機が劇場の画面すら狭しと飛び回る!

前作で薄かったドラマパートはテーマを「男の引退と父性」を据えることで深みと普遍性を獲得。これだけでも感情移入しやすい。

前作の任務はドッグファイト。面白いのだが、いかんせん味方機と敵機の区別がつけづらく、今なにが起こっているのか瞬時に分かりづらい。

今回の任務はスピードアタック。視覚的な分かりやすさと臨場感が何倍にも増した。作戦もCGを用いて説明されるため任務がわかりやすい。

ヒーロー(主人公、マーベリック)がなかなかピンチに陥らなかった前作(仲間との喧嘩中心)

今回は未熟な仲間を死なせてはならないというミッションが加わる。さらに死なせたくない感情に理由があって、テーマともリンクしている。

何度も何度も試練が訪れ、最後には前作の戦闘機で最新鋭の戦闘機に挑むという熱い展開。

上官「お前たち戦闘機乗りは時代遅れだ!いずれ無人機の時代になる!」
マーベリック「でも今はその時じゃない」

劇伴にThe whoやT-REX、デヴィッド・ボウイを使うツボな選曲に思わず唸る。20代が親世代の曲、ユーミンやサザンを聴いてノリノリになっているような感じがまたいい。

The whoで1番好きなWon't Get Fooled Againで飛行シーン!これだけで金払って見た甲斐があった。

前作では、敵を明らかに東側諸国に設定していたが、今回は「ならずモノ国」となっているのも時代か。

敵機のパイロットは皆、マスクをして宇宙人のような見た目。感情の入る余地はない。敵の葛藤を描いてしまえば本作品の場合ノイズになってしまうので、チューニングされている。

ここまで娯楽に振り切った気持ちいい映画を昨今あまり見たことなかったので、シンプルに心地よかった。

正直テーマは古典的かもしれないが、ハリウッドご自慢の戦闘シーンと70年代ロックを堪能できただけで満足だ。

まさに某マンガの「こういうのでいいんだよこういうので」な映画。水戸黄門の神回的な。
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