バス行っちゃった

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のバス行っちゃったのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

楽しかったりきらきらとしていたりするものがすべて過酷なものに根ざしていて、彼の国で這い上がることのほとんど不可能な様が、スコッティの母親のフルタイム労働やジャンシーの祖母の正しく生きようと努める姿勢、ボビーのような人たちが根に持つ善意でもって描かれ、ふざけ合う子どもたちがそれらの間を遊び場に闊歩しているという。

どこを切り取っても話さなければいけない問題で、話しているだけではただただ虚しいものばかりなのだけれども、単純にその語り口の造形美に強く心惹かれてしまって、自分の人格の低さをまたもや痛感する始末。まいったまいった。

また、ことムーニーを愛するという点においては母であること以上の才能を持っていたように思えたヘイリーが、ラストの食事からはじまる一連の流れの中でどこか重荷を下ろしたような気配も漂わせていたように個人的には見えて、公営住宅の母子家庭で育った自分は、ああこういうところも容赦なくやるのかと、勝手に思って勝手に刺さってしまった。まいったまいった。