わたがし

マーウェンのわたがしのレビュー・感想・評価

マーウェン(2018年製作の映画)
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 観る前から思ってたけど、観てやっぱり「2019年ベスト映画じゃん」と震えながら泣いた。ロバート・ゼメキス、貴方はなんて優しい人間なんですか…??今まで何度ゼメキスにハートを抱きしめられたことでしょうか。本当に本当に偉大な映画監督。死ぬまでゼメキスに足向けて眠れませんね
 ストーリーもテーマも「フライト」からずっと引きずって捏ね繰り回してる「現実と虚構の折り合いの付け方」で、それを今回ようやく(興行的に成功しないのでずっと我慢してた)パフォーマンス・キャプチャーで大々的に実施!!こういうのをやりたくてゼメキスはフライト、ザ・ウォーク、マリアンヌという割と堅実な実写映画を撮ってきたんだと思う
 人形パートと実写パートをシームレスにキュッと往来する切れ目の手際の良さ、そしてその切れ目を更にボカす実写パートのアニメ的演出&アニメパートの実写的演出、それら創意工夫が混然一体となって感情と共にブワーって押し寄せてくるクライマックスの何たる楽しさ。観ててこんな幸せで、感情を揺さぶられる映像ある?
 役者の動作ひとつひとつに意味がちゃんとあって、物体や建物、カメラに映り込む光や空気全部にも感情的由来が込められていて、まあ本来映画ってそうあるべき芸術なんだけど、すごくすごく感動してしまうね。「自分は何のために映画を観てるのか」っていうモヤモヤの曇天がスーッと晴れていく感覚
 今のご時世、ちょうどコロナで「芸術やエンタメは生きてく上で必須ではない」的論調の高まりがあって、それは確かにそうなんだけど、人間ただ生きててもそれは単に道端に生えてる雑草と変わらないんすね。人間を人間たらしめる、愛を知り希望を感じ夢を叶える「人間」になるために芸術、というかもっと突き詰めると想像力、イマジネーションは絶対に必須なんだなとこの映画で再認識できた。愛を想像できる者だけが愛の本質を得られるんすよ
 あと、例のタイムマシンは絶妙にハズしたデザインで映画オタクを甘やかさない姿勢が最高すぎるし、これからもゼメキスはきっと更に未来を見据えた最高の映画を撮ってくれるんだろうね。生まれてきてくれてありがとうロバート・ゼメキス先輩
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