わたがし

ダンボのわたがしのレビュー・感想・評価

ダンボ(2019年製作の映画)
-
 めちゃめちゃ楽しみにしてたのに公開時期にいろいろありすぎて観れなかったのが悔やまれる。本当に悔やまれる。良い環境で観たかったなあ、良い環境で観たかったなあと5万回ぐらい思いながら観た
 まず美術やら何やらで作り上げられる圧巻の映像美、もう今後「映像美」という単語をバートンの映画の感想を述べる時にしか使いたくないなと思うほどの映像美、あったかくて残酷で、ちゃんと地に足のついたファンタジーの香りがムンムン漂うあの感じ。バートニズム+ビッグアイズあたりで獲得した上品さをベースにチャリチョコ級のスケール感でお届けする2010年代恐らく最後のバートン映画。最高だなあ
 そしてペレグリンあたりから発揮し始めたバートンの「大人の映画演出」みたいなのが節々に炸裂(しかも嫌味なく自然に)し、いよいよ大御所というか風格満点の巨匠の佇まい、ストーリーなんか追わなくても画面と演出を眺めてるだけでニコニコしちゃうよね!!
 そんでもってストーリーはダンボを利用した(利用したという言い方が正しい)自分語り。「俺は日々こんな感じで映画撮ってんねんで?」「俺ってこんな辛い思いしてんねんで?」「俺ってこんな繊細やねんで?」みたいなエゴメッセージの数々を、ストーリーを破綻させずに絶妙なバランスで織り交ぜてくる職人芸、そして辿り着く切実なディズニー大批判。なんて、なんてキモくて美しい映画なんだろう
 エヴァ・グリーンに対する「この人のほんとの魅力を理解してんのは俺だけだから!!」みたいな撮り方も最高で、エヴァ・グリーンをここまで綺麗でかわいいなあと思ったことないぐらいの。ヒロインのちっちゃい女の子も相変わらずのバートン映画ヒロイン顔&芝居で、そんでもってこれもまた相変わらずの「科学のことあんまよくわかんないけどロマンがあっていいよね」みたいな理系描写。漠然とした理系描写はほんとに最高。文系の描く科学こそ本質的な意味での科学なんすよ!!と再認識してしまうなあ
 最後の半端なエピローグこそタルいディズニー映画だなあと思ってしまうけど、それまでの過程全部が完膚なきまでに「反逆者バートン」の映画でほんとのほんとに最高の映画だった。二択で迫られると結局ディズニー奴隷のアラジンのほうが好きだけど
わたがし

わたがし