バス行っちゃった

007/ノー・タイム・トゥ・ダイのバス行っちゃったのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

映像美や映画的な間の取り方なんかは申し分ないけど、物語的には穴が多いというか、継ぎ接ぎな感じ。

マドレーヌとスペクターの関係については前作で扱われたのだからボンドも了承済みだと思っていたのに冒頭でまた蒸し返していたりするので、まあ小さなことでも見逃さないというのは情報部エージェントという命がけの仕事の中で染み付いてしまったものなのだろうし、結局はそうした暴力と陰謀の世界観による引力から逃れられないということの描写でもあるのだろうけれども、なんかボンドの器の小ささのようにも感じられてしまったし、まさか制作側で物語の設定共有がじゅうぶんにできていなかったのかとかいった勘繰りをさせられたのもしんどかった。マドレーヌの父親がキーになる的なのとかも結局うやむやになっちゃって。隠し子展開のためだけの喧嘩別れだったとは思いたくないけど、うーん。

ただ、最後にボンドが見た空とセリフは悲しい解放感にあふれていて美しく、そりゃ泣いちゃうよな感じだったので、結局は終わりよければ?すべて良しみたいな感じ。

エンドロールであんなこと書いてあったけど、どうなんだろうなあ。ダニエル・クレイグ版もこれまでの代替わり同様にふんわりとジェームズ・ボンドというキャラクターのイメージの中へと還元されて、真っ新な顔して仕切り直すのだろうと思ってたけど、だったらことさらあんなこと書かなくてもいいはずだし、さすがにボンドが死んだとなるとというのもあるから、なにかあえて書くだけの仕掛けでもあるのかしらん。まああの終わり方だとシリーズ終了だと誤解する人もいるかもな配慮であって、特になにもないんだろうけど。