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007/ノー・タイム・トゥ・ダイのSSDDのレビュー・感想・評価

3.6
■概要
世界中に暗躍する闇組織スペクター、そのトップの逮捕から間もなく引退し休暇を取るボンド…だがスペクター残党に攻撃を受けてしまう…。
5年を経て、キューバにてロシアから亡命した科学者の手により生物兵器が持ち込まれる。科学者の確保をCIAとMI6で取り合うという構図にボンドも巻き込まれていく…。

■感想(ネタバレなし)
金髪ブルーアイズのボンドのダニエル・クレイグの最終作品…とは知らなかった。
予告も少ししか観ていなかったので。

今回は序盤で複雑な構成を経て、脅威の認識と排除に向かうまでが素晴らしい。
どの組織、個人が何に与しているのなわからないというのでサスペンス性が高く没入感が高い。

その上パロマ(アナ・デ・アルマス)が陽気でいて謎めいたキャラクター性で魅力的。

ただ、結局前回同様に敵がスケールしていない。シリーズの中であたためた構想なのに勿体無い感が半端ではない。というのか率直な感想。

前作の要素がなくなっているか薄くなっているのが私の中では高評価。
・軽薄で白状でアル中のセックス依存症ボンドではないこと。
・ラッキーマンでもなくしっかり泥臭い戦闘していること。
・ご都合がいいことが少ないこと。
・シニカルなブラックジョークも控えめ
重めの作品に出来上がっていた印象を受けました。

最終作品という加点要素があるものの、映像美も迫力も007シリーズの安定感があり見応えはありました。
さようなら、ボンド。








■感想(ネタバレあり)
逮捕後もスペクターを未だ操り続けるブロフェルドに驚き、生物兵器でボンドを殺そうとするものの、組み替えられてスペクター壊滅…ここで一気に謎が膨らみ、スペクターを滅ぼす第三勢力が台頭し、CIAも MI6も信用できるか分からないという先の読めない展開に痺れました。

でも結局はサフィンの私怨の話からスペクターを壊滅させたまではわかるものの、なんで世界撲滅毒殺マッシーンになりたいのかまったく理解できず。
ボンドがいうように怒れる男の一人にしか過ぎずそんなパラノイアな男に何故組織が作れて、こんなに大それた設備ができるのか日本なんの関係があるのかがわからないので小物感しかなく、またも敵役に魅力がありませんでした。

変わって最も魅力的なキャラクター性を発揮したパロマは合言葉は忘れるわ、3週間トレーニングしましたと初心者ですと開けっ広げに言う割に戦闘能力や、度胸、判断能力に長けていて、良い意味で期待を裏切ってさらっと退場していきました。

余計なことをしたなと思うのはポリティカル・コレクトネス的な思想としか思えない黒人女性の007。
そもそもダニエル・クレイグですら批判を受けたのを覆したのだから、今後は自由な起用ができると考えてもいいのだが、何故こんな小物感漂う無能な007にした時にするのか?
ボンドの優秀さを引き立てるのはわかるが、それをするために黒人女性を使ったら無能な007としてわざと起用して、ポリコレを馬鹿にしてるのかなと勘繰ってしまいます。だとしたらシニカル過ぎて流石の私も笑えんジョークですよ。

ともあれセックスシンボリックな男、孤独な殺し屋が家族愛を持って自己犠牲で亡くなるという最後は良かったです。

安定感のある大作シリーズというブランドがあるのと、Qの発明品や無鉄砲男に振り回されるバック側の人間の活躍、魅力的なボンドガールと要素が必ず着いて回るのはやはり観てみて面白いものですね。
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