じぇれ

あみこのじぇれのレビュー・感想・評価

あみこ(2017年製作の映画)
3.7
【荒削りだが瑞々しい感性が光る】

サッカー部の練習を眺めるあみこ。「彼がいない!」あみこは悶絶しながら彼との運命的な出会いを振り返る......

半分も脚本が完成していない段階で撮影を始めたという本作は、はっきり言って荒い。
至る所に粗があり、物語は綺麗に流れていきません。
しかし、1シーン1シーンは、思春期の女の子ならではの苦悩に満ちていて、とてもキラキラしているんです。
いわゆる”こじらせ女子”なんですが、飾り気のない演技も相まって、あっという間にヒロインを愛おしく感じてしまいます。
(公園のシーンのあみこは特に良い!)

また、物語が綺麗に流れない様は、そのまま山中監督が苦悩しながら撮影している様を連想させます。
すると、この作品自体が山中監督の自分探しのように見えてくるんですね。
映画を撮りながら、言語化できない自身の心に近づこうとでもしているかのようで。
なので、本作に限って言えば、荒削りであることはマイナスではなく、むしろ荒削りだからこそ魅力的なんですね。

というわけで、本作は今後も若い方を中心に広がっていくんだろうなと感じました。

※監督自らSNSで主演2人をスカウトしたそうで。キャスティングセンスも抜群ですね。
じぇれ

じぇれ