カズナリマン

モリーズ・ゲームのカズナリマンのレビュー・感想・評価

モリーズ・ゲーム(2017年製作の映画)
3.0
ハリウッド、NYでセレブや金持ちを相手に高額賭博をおこなって逮捕された実在の女性、モリーブルームを描いた実録モノ。ソーシャルネットワークやマネーボールの脚本で数々の賞に輝いた現ハリウッド最高の脚本家のひとり、アラン・ソーキンの初監督作品ですが、去年の賞レースでも脚色賞を含めジェシカチャスティンの主演女優賞ノミネートなどかなり評価されました。

本作で描かれるモリーがジェシカ・チャスティンが再現する通りなら、頭もキレキレ、超セクシーで「何か腹にイチモツ抱えた」魅力的なキャラクターなのですが…いかんせん、お話もキャラもすべてが予想通り!
去年同じくジェシカが演じた「女神の見えざる手」の主人公、スローンが魅力的すぎたのか、モリーはスローンの強烈さを2倍に薄めて話すスピードを0.8倍に落としたくらいの「出がらしキャラ」みたいに見えちゃいました。

でもってあのオチは…なんかモノたりねーーーーーー!!と思うのはジェシカチャスティンのキャラを勝手に脳内で「レッドブル2本飲んだクラリス」的に決めつけちゃってるからなのかなぁ…。
でもこれじゃ、ジェシカの主演女優ノミネート、オスカー直前で失速したのもわかります。

もうひとつ思ったのは、

セリフはキレッキレでいいんですよねーー。
モリーがいちいちあれこれ説明してくれるナレーションや、バカな男どもを正論でねじ伏せて行くシーンも爽快きわまりない。

ただソーキン叔父さんよ、すべてがキレッキレすぎて余裕がなくないすか???

意味がありすぎるセリフのやり取りが早すぎて、字幕がおっつきませんわ。
矢継ぎ早な新キャラ説明に、ポーカーシーンの解説に、途中で字幕をあきらめ、英語だけに集中したらぜんぜんわかりやすかったという…。弁護士を演じるイドリスエルバとの意味深なやりとりも、日本語字幕を読んでると「え、なんでそうなるの??」と思っちゃうようなところ、英語だともっと入って来やすいんだけどな…
ここまで濃密なセリフのやりとりを行われると、字幕のクオリティうんぬんではなく情報を伝えるのでさえままならなくなるという、僕の映画人生でも稀な脚本&字幕のコンビネーションだったように感じました。
これをネイティブ英語でみてたひとたちにはそこまで複雑じゃなかったんじゃないかなあ。その辺もざんねんでした!ソーキン、きっと初監督だし気合い入ってたんだねえー。

あ、しかしケビンコスナーのお父さんはハズしませんね!