このレビューはネタバレを含みます
だんだんと二人がこれ以上ないくらいの鏡像関係であることが明らかになるところなど、魅力的なキャラクターを丁寧に描いていて好感が持てたものの、たとえば葛藤は夜のホテルの自室でといったように、丁寧さというのがこの手の物語の定番を丹念になぞるスタイルのようにも思えてしまい、なんとなく既視感がつきまとう感じ。
また、同じ葛藤をそれほど角度をつけずに何回も転がしているような印象があって、あまり意外性のある発展もしていかないので、二幕や決勝戦もどこか冗長な印象。
ただ、まあこれもべたっちゃべたではあるのだけれど、冬の森を使ったボルグの狂気表現など、美しいシーンも散りばめられていたので、こうした要素を使ったひねりがもっとあればこの作品でしかおがめないものがもっと出てきたのかなと。どうだか。