emily

追憶に抱かれてのemilyのレビュー・感想・評価

追憶に抱かれて(2015年製作の映画)
2.7
 映画監督のミングはトリノの映画祭に招待され、その飛行機の中で、昔の恋人ミナと再会する。彼女は眼科女医で留学中の娘に会いに来ていた。偶然の再会にも、ミナは知らない人のフリをして、もう会わないつもりでいた。しかし感情を抑えられず再びミングの前に現れ、若き頃に一気に心は戻り二人はイタリア旅行を共にすることに・・・

 美しいイタリアの風景、異国の地、現実から離れた場所での再会は心を緩め、二人は一気に付き合っていた頃の気持ちに引き戻していく。穏やかな音楽にのせて観光を満喫しながら、瑞々しい会話を楽しむ。時に芸術的な会話、二人にしかなしえない空気、異国の地だからこそ作り出せるこの場限りの”恋人”。終わりが来るのはわかってる。二度と会えないのはわかってる。でも今だけは恋人のままで・・・

 お互いに抱える現実の重さがまた”夢の時間”を後押ししていく。二人が別れた理由。すれ違ってしまった理由。あの時こうしてればという思いが蘇れど、過ぎた時間はもちろん戻らない。一緒になっていれば幸せになれていたのかもしれない・・いや一緒にならなかったからこそ、こうやって再会できて、ひと時の幸せをまるで永遠かのように堪能することが出来たのだろう。それもこれも運命。思い出だけは決して色あせない・・・
emily

emily