しちれゆ

悲しみに、こんにちはのしちれゆのレビュー・感想・評価

悲しみに、こんにちは(2017年製作の映画)
4.2
両親を亡くした6歳の少女フリダはカタルーニャに住む叔父夫婦の元に引き取られる。
この叔父夫婦が若い(30代はじめ?)のに素晴らしくよく出来た人たち!フリダを腫れ物に触るようには扱わず自分たちの娘と分け隔てなく自然に接するのが素晴らしい。

フリダはパパとママに愛されて幸せな従姉妹のアナが羨ましくて意地悪をする。優しくされても3人の中に入れない。6歳という歳はまだパパとママが世界の全てである筈なのに。だから道ばたのマリア像にママの姿を見て煙草や衣類をお供えしママ、と呼びかける。このマリア像は日本の″祠″と同じなのだろう。

カタルーニャの自然の中では鶏を潰したり羊を殺して血を抜いたりと″死″が普通に生活の中にあってフリダはそれをじっと見ている。他生が人間の命を紡ぐのを見て命の終わりと更新を考え少しずつ両親の死を受け入れていくかのよう。

原題はEstiu1993(Summer1993)
夏の日々フリダとアナは池やプールで泳いだり時には夏祭りに行ったり。時が過ぎていくのを惜しまず未来を思わずただただ遊び暮らした小さかった頃、抱えきれないほどの時間を持っていた子供時代を懐かしく思い出して少し悲しくなる作品
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