めしいらず

アレッポ 最後の男たちのめしいらずのレビュー・感想・評価

アレッポ 最後の男たち(2017年製作の映画)
3.3
日本ではほとんど報じられないシリア内戦の真実を伝えるドキュメンタリー。アラブの春の流れで起こった民主化運動の弾圧に端を発し、反政府側につく多国籍軍と政府側のロシア軍らの介入、混乱に乗じて勢力拡大を目論むイスラム国ほかの過激派組織など、様々な思惑が入り乱れて複雑を極める政情。市井の人々が、子供が、日々爆撃の犠牲となり深傷を負いまた死んでいく現実。そんな中で少しでも多くの市民を救おうと立ち上がったのは同じ市民からなる救助隊。私が観たのは短縮版だからか凄惨な場面は省かれていたようだけれど、それでも言葉を失う恐ろしさだった。自国民同士が殺し合うだけでも悲惨なのに、大国の思惑が絡んで更に長引き犠牲者を増やす負のスパイラルで完全に泥沼化している。どうすれば良くなるのか分からないけれど、私たちはまず知ることがその第一歩になるのだと思う。生後間もない赤ん坊が瓦礫の中から救出された時の皆が歓喜に包まれる様子が胸を突く。
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