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鍵のunknownのレビュー・感想・評価

(1959年製作の映画)
4.0
ばあや役・北林谷栄の、ちょっとすっとぼけたアジのある演技がとにかく最高。缶かんの裏に平仮名で「どく」て。面白すぎる。

旧映倫は本作を成人映画に指定し、18歳未満の鑑賞を制限した、とのことだが、誰もフルヌードにはなっていないし、直接的な性描写もなし。現代の人間には「え、この程度で…?」ってびっくりしてしまうぐらいに、表層的にはかなりエロスは控えめ。ただ、じっくり観てると、京マチ子の吸い付くように美しい背中や、もちもちした二の腕や脚の艶めかしい質感、中村鴈治郎の老いさばらえてなお衰えぬ性への飽くなき欲求、仲代達矢のギラギラした爬虫類感etc...谷崎潤一郎小説の映画化(小説とは内容が異なるが)なので、じっとりとした薄暗いエロスの芳香にじわじわ侵食されるみたいな変な感じになってくる。

冒頭、走る路面電車の底から撮影してる石畳の風景とか、京マチ子の強烈な「逆ハの字眉毛」(触覚のよう…)とか、昔の血圧計やポラロイドカメラとか、和室のベッドとか、バカでかい仏像とか、びっこの猫とかやたら印象に残り、なんだかそれこそ悪夢を見ているような心地になる映画だった。。
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