ryodan

アンダーグラウンド 完全版のryodanのレビュー・感想・評価

5.0
思い切り拳で殴られた感じ。言葉では言い表せない、この作品の魅力。まず5時間、作品に噛り付きです。何が何だか分からず、要所要所でユーゴスラビアの歴史が描かれていくのに気付きます。第二次大戦、ドイツの侵攻の下、地下都市で生活し、銃を作り、反撃の機を窺っている。しかし一人の男に終戦を知らされないまま、何十年と地下生活を余儀なくされ、その間にも地上では歴史が動いている。そして地下から這い出た時には、もうユーゴスラビアはなくなっていた。この話をドタバタ調で、極端な演技でゴリ押ししてくるので、作品の熱がガンガンに伝わってきます。批判もしなければ肯定もしない。強いて言えば、悪意がないんだけどバカにしてる様にも見えるかな。ある日突然、自分の国がなくなっていたら。。心の拠り所はどこにおけばいいのでしょうか?って、ここまで考えさせられるような説教臭さが微塵もないですけど。ヨーロッパでは、学校で歴史や地理なんか、どうやって教えているのか気になりました。もともと地続きの大陸ですから、国境なんて時代で変わっているんですから。境は戦争の勝敗で決まるわけでしょ。そういう言い方悪いですけど、どす黒い歴史をヨーロッパ人達は共有しているのでしょうか。それならパルム・ドールもうなづけます。あ。これ1995年の作品です。
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