カメラを止めるな！のぴろのネタバレレビュー・内容・結末

【ワンカットの功罪】
　先に伏線(違和感)を散りばめたストーリーを1周させ、その後「答え合わせ」の2周目を見せるという2段構成。のどの小骨が一つ一つ取れていくような爽快感や、意外性のある展開が話題を呼び、大ヒットした。
　プロットも去ることながら、カメ止めの特に斬新なところは、なんと言っても「ワンカット」という仕掛けだろう。単にゾンビホラーの臨場感を出すためのひとつの手法かと思いきや、後半では、撮影スタッフである主人公らに突きつけられた難題として大きく効果を発揮する。
　撮り直しのできない一発勝負。しかし巻き起こるトラブルの嵐。ワンカットだから、役者は急に出来た間をアドリブでつなぐしかない。カメラに映り込まないところで裏方がドタバタと奔走する。それを俯瞰で見るのが面白い。
　また、コメディでありつつも、「何があっても絶対に作品を完成させるんだ！」という監督らの思いに観客らは共感し、一体となってドキドキハラハラする。
　そして最後のオチ。親子の絆が作品に温かみを添えて、鑑賞後感も心地いい。なかなかの名作だと思う。

　ただ、感想や評価を調べてみると、前半部分で飽きてしまう人が結構いたようだ。確かにこの手の構成にするなら伏線部分は丁寧に描くべきなのだが、何しろワンカットなので、観ている側からしたら息をつく暇がなく、結果、間延びして感じられる。この辺りを今後の作品がどう克服していくかが楽しみだ。