100分の映画の中に、干支が一回りするくらいの時の流れが凝縮されているけれど、茶道の落ち着きのある所作や、雨や雪、正月の挨拶といった四季の移り変わりが繰り返し描写されていて、とてもゆったりとしたいい雰囲気の作品だった。
黒木華さん演じる主役の典子、彼女の20〜30歳の成人期を中心に描かれている作品だが、わりと親近感がある人生でリアリティがあって共感できる部分が多かった。
一方、樹木希林さん演じる茶道教室の武田先生。こちらはお茶を通じて繰り返す四季を楽しみ、新年の挨拶をし、何にも動じず変わらない日々を過ごしていく感じがとても素敵だった。樹木希林さんの役作りは、全体的に落ち着いた雰囲気ながらも、時々ほんのちょっとだけ感情的になり可愛らしい人間味を出してくる。この感じには虜になってしまう。
典子がお茶を習い始めた頃に武田先生が言った、考えないでいいからまずは形だけ覚えてという一言。情報収集が容易で知識だけ先走りがちな昨今にとても響く言葉でした🍵
