NONAME

68キルのNONAMEのレビュー・感想・評価

68キル(2017年製作の映画)
3.1
もし日本の映画監督がこんな映画を1作でも作ってくれたら 迷わず映画館に足を運ぶね。暴力/スプラッター描写という点では 去年から今年にかけて公開された世界中のすべての映画を集めたとしても この映画の足元にも及ばない。特徴としては 乱暴に言えば ポップ指数を一気に強め始めた『ロック ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』〜『スナッチ』期のガイ・リッチーに ロブ・ゾンビのグランジ風味と騒がしい掛け合いラン・チキン・パティーを加えただけ。だが そんなソリッドでガレージな作りに 5年に一度あるかないかの素晴らしい70年代ニューシネマ・スタイルが合わさることで とんでもない名作が出来上がった。

映画全体の総合点からすれば 若さゆえの物怖じしない実験性や引用などの凝縮さが明らかに強みとして機能しているエドガー・ライトやデビッド・リーチの『アトミック・ブロンド』には及ばない。だが その2作からは 今後の彼らの伸びしろまではさすがに見えてこない。しかし 本作から浮かび上がるのは むしろそこなのだ。ボンクラ映画のポテンシャルの高さを不気味に際立たせる 未完の大器の習作的な1作。号泣必至。悪趣味だとかゲテモノ映画がどうのこうのという下らない色眼鏡を外して ジャンル映画で育った人達なら 今すぐ見るべし。素直に泣くべし。
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