NONAME

ハロウィンのNONAMEのレビュー・感想・評価

ハロウィン(2018年製作の映画)
3.4
ホラーという言葉を胸を張って使うことの出来る 本当に久しぶりの映画だ。そう ここにはトビー・フーパーの『悪魔のいけにえ』以前にあった 本当にアルカイックな時代のホラー映画のヴァイブがある。ジョン・カーペンターのオリジナルの1作目へのオマージュとリスペクトが素晴らしいだとか ロブ・ゾンビ版とゴア描写を比較しても引けをとらないだからとかそういう話ではない。ここには 恐怖映画も ノワール映画も 西部劇も まったく区別なく 並列にエンターテイメントとして機能していた時代の「何をも拒まない姿勢」があるということなのだ。そして いい意味で ロメロやアルジェントの初期作品に比べれば 明らかにイケていない あまりに軟弱な「スプラッター/スラッシャー」が強すぎるカーペンターのオリジナル1作目を思い出した(当然か!?)。
そう カーペンター版『ハロウィン』が生み出した元凶があったとしたら それは「ホラー選民意識」とも言うべき排他性だ。それはポップ・カルチャーのうねりのひとつでもある大衆映画から 精神的クラス意識。つまり ホラー・ジャンルというメンタリティを派生的に生み落すことになる。そこから堕落は始まった。注目すべきは 現在 もっとも特権意識にまみれたジャンルである“低予算ジャンル映画”という出自をもったプロデューサー ジェイソン・ブラムの制作会社ブラムハウスから このゴア感バリバリの作品を産み落としたという点。ひたすら「人間賛歌」ばかりを促進するディズニー/日本の映画シーンに唾を吐く 大傑作。
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