翼

プーと大人になった僕の翼のレビュー・感想・評価

プーと大人になった僕(2018年製作の映画)
4.0
幼少期、クリストファー・ロビンは100エーカーの森の誰よりも賢くて、仲間たちが困ったら助けてくれた。
時が経ち大人になったクリストファー・ロビンが聞く森の仲間たちの言葉は、忙殺され失っていた大切なものを思い出させてくれる。
けど忘れてるわけじゃないんだよね、何層にも折り重なって複雑化してるだけなんだ。家族の為、部下たちの生活の為にやってること。クリストファー・ロビンは昔も今も、誰かの為に頑張る健気な人。そのこんがらがった考えを、プーがシンプルな問いかけで解いていくお話。

幼少期にVHSで「くまのプーさん」を暗記するほど見て、いま仕事で過渡期にいる私にドンピシャすぎる映画。台詞なんてソラで言えるほど覚えているのに、その意味を考えもしなかった。吹替えで見たんだけどナレーターさんのあの声でノックダウン…!

「何もしない」をしよう。
「どこか」は探さないで、待っていればどこかの方からやってくる。
楽観的・短絡的にも思えるけど、案外そんなもん。

表情豊かなティガーやピグレットに対して唯一無表情に近いプーは、キティちゃんのそれのように、見る人の気持ちによって微笑んだり悲しんだりして見えるのかな。

序盤は曇天のロンドンのように燻んだ重苦しい雰囲気。霧の日のお話のように曇ったムードから、クリストファー・ロビンが元気を取り戻すにつれ霧が晴れていくように次第に色彩を帯びてくるのがホッとする。

しかしよくあれだけヒイタチ顔したおっさんを見つけてきたもんだ!
翼