アズマロルヴァケル

サバイバーズのアズマロルヴァケルのレビュー・感想・評価

サバイバーズ(2012年製作の映画)
3.5
上質なトルコ映画

・あらすじ
中尉と軍曹と共に通信基地にあるアンテナの修復をしに行ったオーズとベキール。しかし敵に包囲されてしまい、廃屋に避難したものの事態は一刻を争っていた。オーズは自分のために恋人と別れ、更に両親の反対を押しきって短期兵になった。一方ベキールは親不孝者で短気な男でオーズにとっては厄介な先輩だった。

中尉とオーズは廃屋から銃を向けて敵を一掃し、軍曹とベキールは雪山を走って突破することにした。しかし、廃屋では中尉が敵に狙撃されて死亡。軍曹もまた敵に狙撃されて殺されてしまった。残ったオーズとベキールはアンテナの修復のため通信基地へと足を運ぶのであった。

・感想
この映画は劇場公開された続編である「エスケイプ・フロム・イラク」の前日譚作品で、「エスケイプ・フロム・イラク」でも主人公であるオーズと同じく出演しているベキールのバディものの戦争スリラーと同時に戦争に赴くオーズとベキールの任務前を回想シーンを本編を見せながら振り返るといった感じで、ホラー映画「インバージョン」や「メメント」のような構成。

アルバトロスに関しては前に先に続編である「世界の果てまでヒャッハー!」を公開してから前日譚である「真夜中のパリでヒャッハー!」をあとから公開したのでもしかしたらこの後だしじゃんけんのようなこの公開の仕方に誰もが呆れたはずです。

で、内容はとてもよく、86分という短時間ながら薄っぺらくもなく濃厚なドラマ性で飽きさせなかったです。特にオーズが前に付き合っていたペリンという女性との関係性が回想シーンで描かれているのだが、まるで「5時から7時までの恋人カンケイ」のような恋人じゃないけど恋人のような複雑な友人関係で、入隊前に二人がハンバーガーを食っていたシーンは微笑ましい。一方でベキールの回想シーンでは母の遺言で耳をつねってくれる恋人を作ってと言ってくれたのでベキールが入隊前にコンビニ店員にアプローチするのだが、店長に怒られそうになるシーンがあるのだが、彼が短気なのに優しく対応したのはきっと母のおかげなのかと思うと人間味はありました。

そして、この映画はオーズとベキールの凸凹コンビが極限状態で戦うバディものであると一方で後半では敵の遺体をみて
オーズが敵にも家族がいると察して同情するシーンもあり、戦争映画としてはオーズとベキールの成長する様とトルコの戦争事情を伺える良作でした。

敢えて悪いところをあげるとすると、回想シーンがやたらと時系列がバラバラで、例えば前半にベキールがコンビニ店員にアプローチするシーンがあったのにかなりあとにそのあとにコンビニ店員とはダメだったと悪友に報告するシーンがあるので二つのシーンを繋げて見せた方が良かった。他のシーンもちょっと時系列がちぐはぐに戦闘シーンに紛れて見せるのでちょっと他人によって頭で整理し難いところもあるかも。

ちなみに、ジャケットでヘリコプターがあるが、一切登場していないのでご注意を!