鋼鉄隊長

ニンジャバットマンの鋼鉄隊長のレビュー・感想・評価

ニンジャバットマン(2018年製作の映画)
4.5
なんばパークスシネマにて鑑賞。

【あらすじ】
犯罪都市ゴッサムシティにて天才猿ゴリラグロッドが驚異の実験を行う。それに巻き込まれたバットマンは、ジョーカーをはじめとする悪党共々、群雄割拠の中世日本にタイムスリップしてしまった…。

 この作品は本当に狂っているのか? 僕はそうは思わない。むしろ細部まで作りこまれた「ちゃんとした作品」だろう。アメコミの傑作『バットマン』と日本時代劇を掛け合わせた企画のインパクトだけで判断してはいけない。この映画の骨組みは正真正銘「日本エンタメ」。もっと言えば我が国が世界に誇る伝統文化「特撮」である。
 まーたコイツは好きな映画を特撮認定して語っているなと呆れられるかもしれない。しかし思い出して欲しい。かつて日本には『スパイダーマン』と言う特撮ドラマが放送されていた。「コスチューム以外は原作と全くの別物」と評された東映版アメコミ作品である。そもそも日本人とは、ビーフシチューを伝えたら肉じゃがを作り出した民族だ。オリジナルに対する敬意は建前にすぎない。我々は上手く食するためには平気で酒や醤油をぶち込むのだ。そしてそれが憎いくらいに美味いのである。
 とは言ったものの、しっかりと『バットマン』の魅力も残している。特に明智光秀(このチョイスがまた良い!)に扮したトゥーフェイスは、少ない出番ながらも二重に罠を張った彼らしい立ち回りをする。そしてそこに特撮が上手く入り込む。ポイズン・アイビーの操る樹毒城が木々を掻き分け高速で移動する姿は、『ゴジラVSビオランテ』(1989)に登場したバイオ怪獣ビオランテを彷彿とさせる。最終決戦の地が「富士地獄ヶ原」と来れば、『地球最大の決戦』(1964)や『怪獣総進撃』(1968)を思い出さずにはいられない。バットマン一行が敵の集中砲火を受け、逃げ惑う背後が激しく爆発する様子は『仮面ライダー』などでお馴染みの光景。もはやアニメであることを忘れてしまう。
 原作アメコミと日本特撮の絶妙な塩梅。アメリカよ、これがエンターテイメントだ!!
鋼鉄隊長

鋼鉄隊長