伝えようとしていることはよく分かる。
現代の日本社会に生きる人々は理不尽な事に耐え、言いたいことも言えず、モラルや倫理に忠実でなければならない。
抑圧された意思・主張はどこにも吐き出せずフラストレーションが溜まる一方である。
響はそんな"普通"の生き方に反する行動・言動で、自分に正直に生きる人間である。
周りの登場人物は彼女のキャラとは対照的な人物像であり文字通りの"脇役"である。
小説もその内容にもほとんど触れられないので、ここでは一種のマクガフィン的な扱いである。
本作はとどのつまり響という人間を引き立てることで成立している。
とまぁやりたいことは理解できるのだが、いかんせんその"引き立て"をしたいがために、演技が過剰であったり、響の行動が度が過ぎていたりと、とても共感できるものでない。
振り幅が大きければ、受けて側の爽快感も増すと思っているのか。それはあまりに稚拙で浅はかである。