ぬっきー

15時17分、パリ行きのぬっきーのネタバレレビュー・内容・結末

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

大好きな映画になった。
それまでの全部、あなたにおこってよかったね!とスペンサーに言いたくなる。

列車でのできごとは劇的で、それこそ映画のようなできごとだったけれど、あの時のスペンサーたちだったからあの物語が生まれた。

単純な私は、最初その事件を描いた映画なのだから、その事件がさぞや劇的に描かれるんだろうと思ってた。
でもそうじゃなかった。
小学生の昔にまで遡って、スペンサーたちがどんな風に生きてきたかを描いている。
それで、あの事件はクライマックス的に配置されてる。

幼馴染と離れ離れになってしまったこととか、
思いつきのように軍隊に入ったこととか、
そのために努力したこととか、
せっかく入った軍隊で希望通りに行かなかったこととか、
そこで救護のことを学んだこととか。

そんなひとつひとつが、彼らにあの列車での行動をできるだけの条件を整えていた。

一生懸命生きてきたことが、突然自分でなくてはいけなくなる条件になる瞬間。
事件の後、スペンサーは呆然としていたけど、何か圧倒的な肯定のようなものが彼を通り過ぎて行ったんだと思う。

人を、祝福したくなるような、作り手の人間を信じる気持ちに打たれるような、そんな映画だった。
ぬっきー

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