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プラハのcyphのレビュー・感想・評価

プラハ(2006年製作の映画)
3.9
異国の地に夫婦が降り立ちホテルへチェックインするところから始まる物語 幼い頃に自分を捨てた父の遺体、愛の終焉を予感させる美しい妻、父の元恋人を名乗る謎の弁護士 それぞれとの微妙なバランスの中で主人公クリストファーの人生がひとつずつ清算されていく物語

コーヒーを頼むとビールが出てくるカフェ、正面玄関が閉まっていて窓からしか入れない病院、名物料理を「火曜日はありません」の一言で断るレストラン プラハという街のカフカ的な欠点がドラマにおかしみと奥行きと意図しない連帯感を与えててとてもよかった こんなところで俺は私はなにをしているんだろうと天を仰ぐような心地を共有しながら彼の総決算を静かに見守る どうしてこんなところで、どうしてこんな父と、どうして妻とこんな風に? 『永い言い訳』『雨の日は会えない〜』に並ぶ"女のいない男たち映画"としてカウントします つまることかなり好みだった
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