喜連川風連

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドの喜連川風連のレビュー・感想・評価

3.5
落ちぶれていく元スター俳優の葛藤の
背景で描かれる猟奇的事件。

普通ならば、俳優の葛藤と克服が描かれて、終わるところをもう一つ事件をクロスオーバーさせてくるところが他のシロモノと一味違う。

関係ないと思われたシーンの一つ一つに意味と伏線があり、ラスト10分は極上。

最強のスタントマンが最強たる所以も描写済み。
だが、あることをしたことによって、普段より少し力が劣っているかもしれない?というハラハラ感を観客に与える脚本の巧みさ。
暴力描写のカタルシス。

序盤のたるみからは想像つかないほどにとてつもなくスカッとした。
ラスト、ブラピの暴力描写のシーン爆笑した。拍手喝采!心が歓喜した。

脚本もさることながらカットバックも決して観客をだれさせることはない。

人物を写す際、体全体を一度に写すことなく、足元から徐々に顔を写すことで、観客の見たい欲をそそる。

さらに顔を写すタイミングでグラサンをかけさせたり、女の子のお尻越しの会話、会話のシーンではタバコが印象的に交わされる。
役者に動きがあり本当に面白い。

移動のシーンの車ひとつとっても普通に撮りはしない。

流れるネオンがボンネットに映り込み、慣れた手つきで車線変更。
CG無しの映像に、ホンモノのクラシックカーが行き来する。

作り込みも本当に細かい。
ヒッピーの女の子の脇には毛があって、当時の洗顔用品もそのままだった。

他の方も書かれていたが、劇場を出て、思いのほか時間が過ぎ去っていることに驚いた。

最強の妄想家
タランティーノ。
ここに降臨。
喜連川風連

喜連川風連