Rick

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3のRickのレビュー・感想・評価

5.0
 完璧じゃない我々は、喪失を抱えたまま生きていく。失ったものと同じものは2度と戻ってこない。取り戻せたと思っても、それはどこか異なったものに違いない。ただ間違いなくこの手に残るものもある。やり直すこと、次に向かって再び立ち上がること。必ず失意の日は過ぎ去ると信じて。また笑って踊れる日が来ると信じて。それは、どんな完璧なユートピアよりも力強く素晴らしい世界だ。緑の大地と青い大空が広がる、大丈夫じゃない我々の世界だ。
 監督降板の危機や、さまざまな大人の事情という名のマルチバースを経て、ようやく日の目を浴びたvol.3。正直、近年のMCUの動向には食傷気味になっていたが、我らがガーディアンズが帰ってくるとなれば馳せ参じないわけにはいかない。しかも裏主人公としてガーディアンズを支えてきたロケットの物語であれば尚更。これまでのユーモアもありながらも、テーマがテーマなだけに非常に重苦しくキツい描写が続く。これまで積み重ねてきた、それぞれのキャラクターの喪失が何条にも膨れ上がって襲い掛かってくる。けれども、もうガーディアンズのみんなの事が大好きになっているためか、目を背けられない。エモーショナルに揺さぶられながら、皆の選択をしっとりと受け入れていく、不思議な映画である。約10年弱続いたシリーズの貫禄を見せつけてくる。
 2010年代以降の「宇宙」描写を決定づけてしまったシリーズの最新作は、ビジュアル面でも他の追随を許さない。驚くほどグロテスクな宇宙船や防護服、ヴィラン許すまじ必至なほど悲惨な被験動物たち、見事なアクションシーンなど、なかなか特異な地位を確立している。
Rick

Rick